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森博嗣「すべてがFになる」のレビュー【感想】

すべてがFになる (講談社文庫)

森博嗣の小説「すべてがFになる」の感想です。

孤島で起きた異様で整然とした殺人ミステリー

あらすじ

孤島のハイテク研究所で、少女時代から完全に隔離された生活を送る天才工学博士・真賀田四季(まがたしき)。彼女の部屋からウエディング・ドレスをまとい両手両足を切断された死体が現れた。偶然、島を訪れていたN大助教授・犀川創平(さいかわそうへい)と女子学生・西之園萌絵(にしのそのもえ)が、この不可思議な密室殺人に挑む。

森博嗣の最初の小説

本書「すべてがFになる」は森博嗣のデビュー作であり、第一回メフィスト賞の受賞作品です。

森博嗣のデビュー作にして代表作となっており、ドラマ化もしました。

 (…今品切れしているようです。)

 この小説が面白い点は、圧倒的な魅力の登場人物が不可解にもほどがある謎を一つの糸口から解決していく過程を追う感覚です。

序盤の、天才がゆえのこちらの理解が全く追いつかない真賀田博士の異様さと、その天才がオカルト的な殺され方で現れるシーンはもう忘れられないくらい不気味です。

この異常な謎を主人公の犀川と西之園が、一歩一歩謎を追いながら解決するのではなく、「閃き」のような突如舞い降りるアイデアによって一気に解決に向かうという思考の飛躍が他の小説にない躍動感を読者に与えます。

小説の最後のあとがきにもありましたが、人間本来の思考は突拍子もなくいきなり繋がるもので、その描写こそがこの小説のもっともリアリティを感じる部分です。

中盤くらいまで読んでいるときは、「これもう解決しないんじゃないのか…」と本気で思ってしまうくらいに一切に謎が解けないのですが、実はその段階で解決のタネや違和感がふんだんに盛り込まれていて、終盤にすべての謎が解き明かされるときに繋がる感覚はジェットコースターに乗っているような感じでした。

長編小説なので文庫はボリュームがありますが、読み始めると止まらなくなるほどハマったので、皆さんにもぜひ手にとって読んでほしいと思います。

すべてがFになる (講談社文庫)

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