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ジョージ・オーウェルの「1984」【ITテクノロジーが発達した今だからこそ読んで欲しい小説】【書評】

一九八四年[新訳版] (ハヤカワepi文庫)

私が人生で影響を受けた小説はたくさんありますが、今回は、その中でもIT技術が発達した現代だからこそ皆さんに読んでほしい、ディストピア小説の最高峰ジョージ・オーウェルの「1984」について紹介します。

1984の世界観ディストピア小説って? 

ユートピア(理想郷)という言葉は聞いたことがあると思いますが、「ディストピア」はユートピアの逆の世界です。簡単にいうとバッドエンドな世界です。

この小説が生まれた背景やオーウェルについて詳しく知りたい方は、色々な書籍や情報がネットに載っていますので読んでいただくと面白いです。

1984年 (小説) - Wikipedia

私がこの本を読んだのは実は数年前で、比較的最近です。しかし、読んだ時に1948年に執筆されたとは思えない未来感を感じました。

管理者「ビックブラザー」が支配する世界

全ての情報や行動計画、思想は「ビックブラザー」という管理者がコントロールしています。ビックブラザーの正体は謎なのですが、全てがこのビックブラザーを中心に動いています。彼に対して反抗的な思想や行動を取るものは処罰されます。その管理体制の徹底ぶりは読んでいて恐ろしい気持ちになります。しかし、現代も急速にこの世界観に近づいている気がします。

IT企業、国家などが情報を集め管理している現代

例えばグーグルは、ありとあらゆる情報を保存することを目的に我々の周りの情報を集めています。グーグルマップには道路の写真がありますし、グーグルの広告は個人個人に最適化されたものが表示されています。

中国では、街のいたるところに監視カメラが設置されていると聞いたことがありますし、個人の信用情報が融資やコンビニでの買い物に活用されたりするそうです。

こういった意味で、情報の集約化が進み、私たちの行動をコントロールしようとする存在の力は大きくなっている気がします。

ブロックチェーンは救世主となるのか

さて、こういって書いていくと、最近注目されるブロックチェーン技術がこの中央集権化の流れを止める救世主のような気がすると思います。個人の情報は個人が管理する世界です。

しかし、私は、逆にこのブロックチェーン、特にイーサリアムの存在を知った時に、ブロックチェーンこそ「ビックブラザー」のような存在になるのではないかと感じました。

完全に分散化された世界ではごまかしが存在せず、情報は全てスマートコントラクト(ブロックチェーンに載せられた契約)として誰もが閲覧ができます。また、スマートコントラクトは仲介者がおらず条件を満たした時に自動で執行されます。このスマートコントラクトこそが人間の行動を縛るビックブラザーのような存在になるのではないかということです。

法律は自然言語で書かれているものなので、解釈に曖昧さがありますが、スマートコントラクトはプログラミングコードなのでそのような曖昧さはありません。つまり、スマートコントラクトが人間の行動をハックするわけです。

まぁ、こんな話はまさに今現在はただのフィクションですが、将来もしかしたら、人間ではなく、分散化された完全な中央集権「ビックブラザー」が現れるかもしれません。

多くの情報が取得されて管理される現代こそ、ぜひこの「1984」を読んでみて欲しいと思います。

一九八四年[新訳版] (ハヤカワepi文庫)

 

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