かとのぼのマイコード・マイライフ

個人開発者かとのぼのプログラミングと雑談のブログです。たまに読書と銭湯も

先見性と行動力、その影響力について

Hillside Terrace 1969-2019

街づくりとコンセプト

先日感心した話がありました。

東京でも屈指のお洒落スポット「代官山」の話です。

代官山は、渋谷と中目黒の間にあり、「代官山」という名前の通り高い位置にある場所です。

とにかくお洒落な街で、ファッションやアートの発信地となっています。

「DAIKANYAMA T-SITE」というTSUTAYAを中心とした商業施設を知っている人もいるでしょう。

代官山 T-SITE | 蔦屋書店を中核とした生活提案型商業施設

実は、この代官山の雰囲気に大きな影響を与えたのはT-SITEの向いにある「ヒルサイドテラス」です。

hillsideterrace.com

このヒルサイドテラスは生まれてから50年になるそうです。アートギャラリーなど、芸術家の活動を発信できる施設ですが、もちろん、ただ何となく生まれた訳ではありません。

50年前から行われた都市設計とコト消費

代官山には政界の名家の朝倉家がおり、ヒルサイドテラスは元々その朝倉家の用地でした。

旧朝倉家住宅 - Wikipedia

その用地に、日本建築の巨匠である槇文彦氏がヒルサイドテラスを設計しました。

槇文彦 - Wikipedia

ヒルサイドテラスは日本の建築の歴史に大きな影響を与えた建築物となります。そして私が一番驚いたことですが、建物だけでなく、街全体のコンセプトデザインまで行っていました。

建築家 槇文彦氏の手による「ヒルサイドテラス」は、その建築空間と、そこに展開されるプログラムによって都市文化をつくり、それは「代官山」の成立に深く影響を与えてきた。

(中略)

ヒルサイドテラスは住居・店舗・オフィスからなる複合建築で、1967年から1992年まで数期に分けて段階的に建設されてきた。このプロジェクトは、都市開発の進行過程を示すひとつのケーススタディとなっているが、各期は、それまでの教訓と都市の拡大に伴う新しい要求に従って変化してきており、その点において都市と建築に対する考え方の四半世紀に渡る変容の記録ともいえる。 ヒルサイドテラスの敷地は、今でこそ東京都内のファッショナブルなエリアとして知られる代官山にあるが、30年前は緑の生い茂った細長い傾斜地で、朝倉家が所有する建物が数棟あるだけだった。朝倉不動産は土地を活用するに当たって性急な開発を望まず、むしろ長期に渡り快適な場所として保たれるよう、環境の変化に徐々に適合させていくことを望んだ。 

ストーリー / HILLSIDE TERRACE

朝倉家と槇氏は、ヒルサイドテラスを通じて代官山をアートの街として定着させ、アートや生活の提案というコンセプトの街にしました。

要するに、1967年から、すでに都市全体の設計と、ライフスタイルの提案のような「モノ消費」から「コト消費」など見越して行動していた。ということです。

驚くべきことです。

日本のバブルが始まる前からすでにヨーロッパ的な街づくりの思想と、物欲の先、品物ではなく生活全体をデザインしていました。

このコンセプトに魅かれた人々が代官山に住み、また店を出しているのです。

先見性と行動力、その影響力

私がこの話を聞いて、何でこんな先を見通せたのだろうか?と思った訳ですが、それはシンプルに、二人に圧倒的な先見性があって、さらに行動する財力や力、そして継続し続ける力があったからだと思うのです。

「時代が追いつく」とか言いますが、そんな簡単な話ではなく、当時バブルの時などは、バブルバブルした影響とか、それなりに圧力があったと思います。

それでもあの洗練された街になったのは、確固たる意思と計画性、行動力があったからです。

自分に振り返って

コンセプトが本物ならその影響力は徐々に広がります。1967年ならまだしも、現代はネットの発達によって、埋もれ続けるという可能性は大きく減ったといえるでしょう。

だから、私の場合は個人開発になる訳ですが、とにかく自分の今までの人生経験から生まれたコンセプトをしっかり持って、それを発信し続けることが大事だと思いました。

多作を否定する人もいますが、ヒルサイドテラスが50年もずっと存在しコンセプトを示したように、コンセプトを人々に発信し続けること、つまり、ネットで言えば一貫したコンセプトを持った多作が成功の絶対条件のように思います。一つの作品を色々な角度から発表したりも入るでしょう。ネットには土地がありませんから、埋もれさせずに常に情報を発信する必要があるということです。

とにかく一つの作品を作り伸ばす、他の作品を作るにしても、とにかく待つのではなく発信し続ける。これを意識したいと思いました。